「ただいまーっ!」
少女は元気良く言った。
「おかえり」
母は娘が帰って来たのを認めると彼女の方を向いて答えた。
「今日は寒かったぁっ!」
娘は息を弾ませて母に向かって思いのたけをぶつけた。
自分がどれだけ寒い中勉強に、運動に頑張ってきたのかを評価してもらいたかったのだ。
「寒いのはあなただけじゃないわ。世の中の人たちみんな寒い中頑張ってるのよ」
母はそんな娘の気持ちを汲み取りながらも、つっけんどんに言った。
娘を甘やかしたくないが故の態度だった。
「ちぇっ…ママはいつもそうなんだから…!」
娘にも母の思いは伝わっていた。
それでも子供として、子供にしかできない甘えを許してほしい気分だった。
「ほらっ、そんなことより帰って来たんだからマフラーや手袋外しなさい。家の中なんだからね」
何故か一向に防寒のものを取ろうとしない娘に母が焦れた。
「だって…家の中も超寒いんだもん!まるで冷凍庫にいるみたいよ!」
「お行儀が悪いわ!早く外しなさい」
母親の焦れは怒りへと変わりつつあった。
「ママだって家の中なのにコート着たままじゃないのよ!」
娘が異議を唱えた。
「そんなこと言うけど寒いわ…ごめんね、ママ勝手なこと言っちゃって」
「ううん、いいの。私こそごめんなさい…」
やはり母娘だ。
ちょっとした気持ちの行き違いもすぐに解消できる。
「けど…」
「どうしたの、ママ?」
「変ねぇ。どうして家がこんなに寒いんでしょう?あなたが言ったように冷凍庫みたいだわ…」
「うん…私もずっとそう思っていた」
二人が共通の疑問を投げかけ合ったその時だった。
『ガサッ!』
奥の方で何かが動いた。
「キャッ!」
「誰?」
『ガサッ、ガサッ!』
現れたのは長髪で髭面の男だった。
母娘にとって全く面識のない男。
見るからに不潔そうでホームレスを思わせる風貌だった。
けれども防寒対策は万全のようで厚手のコート、マフラー、手袋に身を包んでいる。
二人は思わぬ闖入者に恐怖した。
「あなた誰?」
「可哀想になぁ…寒さですっかりおかしくなったか…」
「えっ…!?」
「ここはお前らの家じゃない!」
「何…言ってるの?」
「ここはお前らが閉じ込められてる冷凍庫の中さ!わかるか?お前らは俺に誘拐されたんだよ!」
~~~終~~~
*この物語はフィクションです。
Copyright (C) 2010 by drivemycar All Rights Reserved
2010/02/03 23:05
2010/02/04 00:04
雪は降ってないけど、大阪も寒い~!!!
風邪ひかないようにねっ♪
2010/02/04 01:03
2010/02/05 12:52