今、ペガサスの背中の上。わたしは夢をみているの?それとも、物語の中?
冷たくて、心地よくて、風と一緒に夜の闇に溶け込んでゆく。
森を越えると大きな河があり、遠くにぼんやりと街の光が見えてきた。
ペガサスの群れはだんだん高度を下げ、街に向かっていった。=====
聖都:アルマナ。平らな大地の中央に建てられた最大の都市。古来より平和と希望の象徴
として人々の信仰の中心となってきた街。=====
わたし達ジールメンバーは海の砦:ルシードでの第二戦を終えてすぐここアルマナに向かった。現在、国王との面会のために応接室で待機中。
サクラ:「隊長、ライル国王ってどんなひとなんですか?」
ケルン:「国王は、最も強力な魔術の使い手であり、民からもその人柄が愛される賢明な人
物だ。」
ライル:「そう言ってもらえるとうれしいよ。ケルン隊長。」
白髪の優しいまなざしの老人がそう言いながら部屋に入ってきた。
ケルン:「国王ではありませんか!!!みな、ひざまずいて顔を伏せるんだ!!!」
ライル:「いえいえ。そんなことはいらないよ。それよりもわたしの顔を見てくれるかな。」
国王は穏やかに微笑んでいた。
ケルン:「仰せの通りに。」
ライル:「遠い所から良く来てくれた。長旅で疲れただろう。」
ケルン:「いえ、国王から送っていただいたペガサスのおかげで、疲れておりません。」
ライル:「ペガサスたちが役立ってくれたか。それは良かった。しかし、皆にはゆっくりと休んでもらいたい。部屋にはフカフカのベッドを用意しておいた。寝心地は保障する。あと、夕食も各部屋に運んでもらう予定だ。ここアルマナには特別なものはないが、食事と安らぎには困ることはない。楽しんでいってくれ。」
ケルン:「いろいろとありがとうございます。」
ケルンは深くお辞儀をした。=====
サクラ・レナリー・ミアは同じ部屋だった。
サクラ:「このベッド、すごくフカフカで、気持ちイイー!!」
部屋着に着替えたサクラはベッドの上ではしゃいでいた。
サクラ:「そうそう。質問があるんだけどさ。もうちょっといろいろ教えてくれないかな。
わたし、みんなの言ってることが全然わかんなくてさ。五大都市とか、魔術とかさ。」
レナリー:「そうね。じゃあ、五大都市から教えてあげる。5大都市は、『頂の城:エルバ
ス』『エルフの園:キアラ』『海の砦:ルシード』『聖都:アルマナ』『死の街:ゼブラル』の5つで、名前の由来は・・・」
ミア:「その話、わたしも参加してよろしいかしら(笑顔)」
レナリー:「わたしより、ミアが説明した方がいいわね。そういう物語、大好きだし。」
ミア:「じゃあ、わたしが代わりにお話いたしますわ。5つの都市にはそれぞれ特別な力が
働いている。エルバスには火、キアラには土、ルシードには水、アルマナには光、ゼブラルには闇。だから、人々はそれらの特別な街を五大都市と呼ぶ。では、なぜ、特別な力が働いているのかというと、それは街の守護神と関係している。エルバスのドレイク、キアラのワーム、ルシードのリバイアサン、アルマナのフレズベルク、ゼブラルのバジリスク。そして、これらの守護神は人間に力の一部を与えた、それが聖徒。だから、聖徒は魔術を使えるということです。」
レナリー:「でも、ドレイク、ワーム、リバイアサン、フレズベルク、バジリスクは伝説の中のものよ。けど、聖徒が魔術を使えるのは本当。」
サクラ:「そーゆーことだったの。レイオス国王が魔術を使った時はびっくりしちゃった(笑い)」
ミア:「あと、言い忘れてましたけれど、それ故に、五大都市は力に傾いている。どういう
ことかというと、火・水・土は精霊に。光は天使に。闇は悪魔に影響されているということ。サクラも街にいれば感じると思うけれど、ここが平和で穏やかなのは天使の力。だから、悪魔の力が影響しているゼブラルに行けば、苦悩と恐怖を感じる。」
レナリー:「でも、昔から不思議に思ってたんだけど、精霊の力は火・水・風・土でしょ。風の力はどこに働いているの?」
ミア:「風の力は5つの力が偏らないように常に5つの街を循環してるわ。」
レナリー:「そうなの。知らなかった。」
サクラ:「せ・い・れ・い?なんか物語の中みたい。」
レナリー:「あなたの故郷には精霊はいないの?」
サクラ:「精霊もいないし、妖精もいないし、ヴァンパイアもいないよ。」
ミア:「変わった土地もあるんですね。」
ドアをノックし、妖精が部屋に入ってきた。
妖精:「夕食を運んで来ました。今日のメニューは子羊のソテーでございます。」
レナリー:「あら、ありがと。」
妖精:「部屋の掃除はブラウニーがいたしますので、テーブルの上にパンとワインを少し乗せて置いてください。では。良い夜を。」
そう言って、可愛いらしい妖精は出て行った。
ミア:「明日、街に行くのはどうでしょう。サクラもこの土地のことがわかると思いますよ。」
レナリー:「いいわね。そうしましょう。ねえ、サク。」
サクラ:「・・・・・」
レナリー:「サク?」
ミア:「寝てますね(笑顔)」=====
サクラ:「ねえ、ふたりとも早く早く!!!」
レナリー:「そんなに急ぐとぶつかるわよ。」
レナリーの目が止まった。
レナリー:「ミア、見て。アクセサリーのお店があるわ。可愛いのあるかな。」
レナリーもすごくうれしそうだった。ミアはそれを温かく見守っていた。
ミア:「行ってもいいですよ。サクラはわたしが見ておくので(笑顔)」
レナリー:「別にいいわ。今日はサクのために来たんだから。わたしのことは。」
レナリーは少し恥ずかしそうに顔を赤らめた。
ミア:「じゃあ、後にしましょうね。」
ミアは優しく微笑んだ。=====
サクラ:「あれっ!!ふたりはどこ行ったの?わたしはもしかして・・・迷子になったのかな?」
古めな服を着た白髪の老人にサクラの目が止まった。どこかで見たことがある気がする。
ライル:「やあ、こんにちは。確か、サクラといったね。」
サクラ:「ライル国王様!!!なぜこんなところに?」
ライルは微笑みながら言った。
ライル:「わたしはこうやって街を歩くことが好きでね。たまに城を抜け出してくるんだよ。」
そこにレナリーとミアがやってきた。
レナリー:「サク。もう迷子になったかと思ったわよ。そちらの方は?」
サクラ:「ライル国王様!!!」
レナリーとミアが気付き、驚いた。
ライル:「ここでは国王ではない。だたの老いぼれ老人だ。だから、気を遣う必要もない。
買い物を楽しみなさい。」
サクラ:「わたしたち、街を見に来たんです。アルマナがどんなところか見るために。」
ライル:「そうか。そうか。では、3人にアルマナの思い出として贈り物を贈ろう。すまな
いが、主人、そういう訳でこのコたちに一番似合う石を選んでくれるかな。」
店の主人:「わかりました。国王。」
主人は、心地よく輝く紅色、落ち着きのある藍色、和やかな碧色の石を選び、慣れた手つ
きでブレスレットを作った。
店の主人:「はい。できましたよ。」
ライル:「ありがとう。では、これで足りるかな?」
ライルは数枚の金貨を主人に差し出した。
店の主人:「そんなの受け取りませんよ。おれらは国王様に感謝してるんですから。この街が平和なのも栄えているのも国王様のおかげです。」
ライル:「そう言われると困ってしまうな。では、いつもようにちょっとイイ酒を代わりに送ろう。それなら受け取ってくれますかな。」
店の主人:「わかりました。その方がおれらもうれしいです(笑顔)」
できたばかりのブレスレットにライルは呪文を唱え、紅をサクラに、藍をレナリーに、碧をミアに渡した。
ライル:「わたしはもう少し街を散歩しよう。では、また。ごきげんよう。」
そう言って、ライルは立ち去っていった。