「あ、あのっ」
「すみませーん」
「わぁっ、どこから来たんですか?」
ヒンヤリとしたベンチに座って一息ついていたら、何故だか何処からともなく現れた女性たちに囲まれてしまった。
こんなところをリージャリーに見られたら大変なことになるだろうな、なんて思いながら必至に対処していた。
のだが、案の定探しにきたリージャリーに現場を見られてしまう。
「何、してるの……ラン……」
「いや、あの…これは…」
違うんだ、と言い訳してもたぶん信じてくれないのだろうね……
毎度毎度タイミングの悪いこの状況にそろそろ泣けてくるのだが……
リージャリーのオーラに先ほどまで取り囲んでいたはずの女性たちは消え去り、ボク一人を置いてどこかへ行ってしまった。
結構薄情なんだね、彼女たちは……
「もういいわ、いつもの事だし……そろそろ慣れてきたわ。腹がたつけど」
「……」
慣れられても、それはそれで困るのだが…
はぁーと大きなため息をつくリージャリーにボクは苦笑した。
「ところで、こんなところで何をしていたんだい?リージャリー」
「え、えっと・・・それは・・・」
こんな寒い中…ネフリー君の屋敷にいた方が随分暖かいと思うのだがね…?
「・・・・・心配だった・・・?」
「ち、ちがっ!」
「じゃあ何?」
「っ・・・・」
髪に唇を落としながら囁けば、面白いほどに顔が赤くなるリージャリー。
リージャリーはそんな僕の手を慌てて振り払い、一歩後ろに下がる。恥ずかしいのか、視線を合わせてくれない。
可愛いね。なんて言うとまた怒られそうだから言わないでおこう…
「リージャリー…手、冷たくなってるじゃないか」
「・・・・!」
「顔は随分暑そうなのにね・・・?ふふっ」
「なっ!?」
布越しでも判るほど冷たくなったリージャリーの手をそっと包む。
そうすれば、彼女は顔を真赤にしてボクの手を振りほどいた。
先ほども振りほどかれたが、否、正確にはたたき落とされたに等しいがそう何度もされると正直傷つく…
はぁ、と短い溜息をついて顔を歪める。
「あっ、待てよジェイド!聞いてんのか!?」
そうこうしている間にルーク君とカーティス大佐が現れる。
話を聞くと他の皆は既にホテルにいったらしい・・・
「ここを通ったはずですが、見てないですか?」
「・・・・」
眼中になかった、などと言ったらこのネクロマンサーに何を言われるか、というかどんな顔をされるかたまったもんじゃない…
「さ、さぁ…見なかったな」
「・・・・。そうですか」
何だ、今の間は…
妙に引っかかる言い方をして、ネクロマンサーは去って行った。
「はぁ…ボクたちも行こうか、リージャリー」
「…、そうね」
数秒遅れて、ボクとリージャリーはネクロマンサーの後を歩いた。
そして、何故かリージャリーと距離を取られて歩いている…
「何でそんなに離れているんだいリージャリー」
「別に…意味なんてないわ」
「…さっきの事、まだ怒っているのかい?」
「…別に」
ビンゴ…か
どうしたものかと考えても、どうも彼女の扱いだけは他の子たちとは違って、扱いにくい。
いつもならすんなり出てくる言葉を彼女に云っても何の反応もない、むしろ嫌がられる…
ボク、何かしたのかな・・・?いや、心当たりがあり過ぎて考えるのはよそう…
その後、ボクたちはケテルブルクにある大きな高級感漂うホテルに泊まった。
場所は変わってケテルブルク港。
町とは少し離れた場所にある港だ。
船がやっと出るのだと、港で騒いでいる客と乗務員がいた。
正午の出港だというけれど、さて、それまでどうしたものか…
「おい!!キムラスカの密航船が来てるらしいぞ!」
「なんだって!!」
刹那、港にいた男が声をあげて騒ぎ立てた。
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